採択課題 【詳細】
jh220002 | Dirac流モノポールによるQCDのカラー閉じ込め機構のモンテ・カルロ研究 |
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課題代表者 | 鈴木恒雄(大阪大学核物理研究センター核物理理論研究部門) Tsuneo Suzuki |
概要 |
半世紀以上の未解決重大問題である量子色力学QCDでのカラーの閉じ込め問題を、磁気的モノポールの真空凝縮の考えで解明する。 「1」QCDでは、ゲージ場が特異的であれば、ビアンキ恒等式の破れが起こり、その破れが、8個の可換な保存則をみたす磁気的なモノポール流とみなせることを、2014年、申請者が発見した(1)。このような場の異常性に起因するモノポールは量子電磁気学(QED)で1905年にDiracによって予言されたが、その非可換QCD理論への拡張になっている。このようなゲージ場の特異性に起因するモノポールは、人為的なゲージ固定やQCDを拡張しなくても、QCDでの磁気的なモノポールが定義でき、そのモノポールの真空凝縮が起こっていれば、双対マイスナー効果によって、カラーの閉じ込めが理解できる。これは、まったく新しいカラー閉じ込め機構のアイデアで、これまでなされたようにQCDに滑らかなゲージ固定のような人為的な仮定を持ち込まなくても、モノポールが定義できる点で画期的である。筆者は、このようなモノポールが、連続極限を持っていることをモノポール密度やモノポール有効作用で、格子SU2QCDでのモンテ・カルロ計算機実験で、ブロックスピン変換という方法を用いて示した(2,3)。
「2」本研究計画では、大規模な(大規模格子、長時間)モンテ・カルロ計算機実験で(1)グルオンのみのPureSU3QCDで、弦定数やグルーボールの質量などの非摂動効果が、モノポールのみで理解できるかどうか?(2)SU2QCDでのモノポールの連続極限での結果が、現実のSU3QCDでも成立しているかどうか?(3)双対マイスナー効果が実現しており、SU3QCDでの真空のタイプはどうなっているか?を調べる。予想以上に長時間の解析が必要であったが、SU3QCDでも予想に沿ったデータが得られることがわかり、論文として発表された。(5) (1) T. Suzuki, A new scheme for color confinement due to violation of the
non-Abelian Bianchi identities, arXiv:1402.1294 (2014) (2) T. Suzuki, K. Ishiguro and V. Bornyakov, Phys. Rev. D 97 (2018)
034501, (erratum: Phys. Rev. D 97, 099905 (3) T. Suzuki, . Phys. Rev. D 97 (2018) 034509 (4) A. Hiraguchi, K. Ishiguro and T.
Suzuki、Phys.Rev.D102 (2020), 114504
(5) T. Suzuki, Phys. Rev. D107 (2023), 094573 |
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