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採択課題 【詳細】

jh240065 甲虫翅構造の模倣による火星飛行機向け柔軟膜翼の膜構造-空力連成計算と翅脈様式の最適化
課題代表者 金﨑雅博(東京都立大学)
Masahiro Kanazaki (Faculty of System Design, Tokyo Metropolitan University)
概要

研究代表者らは世界初の火星飛行機の実現を目指し,研究開発を進めている.火星大気は地球に比べて低密度で揚力を獲得するために大きな翼が必要であり,ロケットで輸送される大気突入カプセルへの収納が課題となる.膜を凧のように展開させて翼として機能させる柔軟膜翼は,収納性・軽量性に優れるだけでなく,申請代表者らの事前検討では重量物となるアクチュエータを必要とせずに失速などの空力特性を改善できることも分かっている.こうした柔軟膜翼の利点を最大限活かすためには,コンパクトに収納・自律展開できる機構として,テントウムシなど甲虫類の後翅が,羽ばたきに耐える構造強度と高い収納性を複数の翅脈構造により同時に実現していることと,翅脈の弾性により自律的な展開を行う機構を明らかにした応用生物学に着目し,これにさらに小型航空機に適用した際の構造・空力の特性向上を図るための研究を着想した. 

火星飛行機主翼の設計では,火星大気環境が地球と比べて低密度であり,地上で実験だけでは模擬が困難であることを念頭に置く必要があり,膜構造と空力計算を連成させた数値計算の援用が不可欠である.本申請では異分野融合数値計算を用いて,火星飛行機への柔軟膜翼の適用性を検討し,設計指針を示すことを目的とする.甲虫の翅脈をもつ膜翼を模倣することによる柔軟膜翼の展開・収納性と構造強度の両立可能性に着目し,数値計算と風洞試験両輪での研究を計画する.具体的には,翅脈状構造による空力への影響も斟酌した空力-膜構造連成計算と最適設計,風洞試験を行い,翅脈トポロジを含む翅脈状構造と柔軟膜翼の収納性・構造強度・空力性能との関係に関する知見を数値計算により纏めたうえで,実設計に応用したうえで,実証機を製作する.


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