近年の実験技術の進歩により、巨大な生体高分子複合体(以下、巨大複合体)の立体構造データが得られるようになってきた。生体高分子の機能を理解するために立体構造を比較することは伝統的かつ有力なアプローチであるが、巨大複合体に対して適用可能な手法は極めて少ない（事実上ない）。そこで我々は10,000残基を超えるような巨大複合体を相手に、１残基分解能での構造比較が可能なソフトウェアを開発した。前年度の開発努力によりMPIとOpenMPによる並列化に対応することができたが、学術的に価値のある計算ターゲットを絞り込むことが難しく網羅的な構造比較計算を行うことができなかった。本年は、昨年度の開発成果をもとにソフトウェアの論文化を目指すとともに、生物学的意義のある網羅的構造比較計算による学術成果創出を目指し研究を行う。