学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点

採択課題 【詳細】

jh240047 植物空力予測のためのデジタルプラットフォームの構築
課題代表者 高橋裕介(北海道大学・大学院工学研究院 機械・宇宙航空工学部門)
Yusuke Takahashi (Hokkaido University, Faculty of Engineering)
概要

自然風環境下にある水稲やトウモロコシなどの農作物は、空気力を受けて大きくしなり、倒伏が生じることがある。倒伏は多くの作物種で主要な減収要因となっており、その軽減のために風防の利用や倒伏耐性品種の育種が行われてきた。倒伏に対する措置を効率化するうえで、自然風環境下で植物体地上部にどのように空気力がかかるのか理解することが重要となっている。

一般に作物は個体群として栽培され、群落を形成する。群落の構造は、栽植様式や密度、個体の形態特性に依存するため多様かつ複雑であり、これにより群落内の各個体が受ける空気力も変化する。群落内の個々の植物にはどのような空気力が働くのか、どのような空力弾性挙動をするのか、倒伏を防ぐためにはどのような措置が必要であるのか、それらの問いに十分に答えるアプローチ方法の導入は有益と考えた。本研究では、植物空力予測のためのデジタルプラントプラットフォーム提案を図り、植物の空気力学・空力弾性学のアプローチ手法を構築することを目的とする。

現在、ハードウェア・ソフトウェアともに計算環境の発達が非常に進んでいる状況である。このような背景において、オープンソースソフトウェア(OSS)も様々なコミュニティにおいて活発に提案されている。たとえば、PlantFEMは植物の成長に関する現象モデルが実装されており、非構造メッシュ生成や、有限要素法に基づいた力学的挙動の再現が可能なOSSである。OpenFOAMは形状デジタルデータ(STL)に基づく計算格子生成と流体シミュレーションを可能とし、その他にも極めて多機能なソルバーを内包することで、流体解析ツールボックスとして非常に広く使われている。preCICEは近年提案されたOSSの一つであり、データ通信やデータマッピングを通して独立したソルバー同士を接続することができるカップリングライブラリである。

本研究ではこれらOSSを活用して、植物の空力特性・空力弾性特性を調べるためのツールを構築する。とくに、構造場・流体場を独立に解き、連成界面でデータ通信を行う分離型連成解法に注目した。

報告書等 研究紹介ポスター / 最終報告書
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