学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点

採択課題 【詳細】

jh240003 大規模比較ゲノム解析による病原細菌の進化と病態発症機構の解明
課題代表者 山口雅也(大阪大学大学院歯学研究科)
Masaya Yamaguchi (Osaka University, Graduate School of Dentistry Bioinformatics Research Unit)
概要

 本計画は、2022年度の萌芽型共同研究(EX22701)、2023年度の公募型共同研究(jh230035)からの継続課題である。これまでの研究で、肺炎球菌と化膿レンサ球菌について、細菌ゲノム情報とメタデータとしての臨床症状を用いたゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し、病態と相関する細菌側因子を検出した。さらに一部の分子について、分子生物学的解析にて病原性に寄与することを示した。
 今年度は、これまでに得られたデータを検証するとともに、次の二点の解明を試みる。一点目は、肺炎重症化を引き起こす宿主要因の解明である。マウス感染モデルを用いて、加齢による免疫応答の変化ならびに肺微生物叢の影響、ならびに一菌体ごとのゲノム変異を検討する。
 二点目は、口腔常在細菌叢の菌叢構造と網羅的な遺伝情報の解明を行う。肺炎球菌は外部遺伝子を取り込みやすい性質を持ち、特に類縁の口腔レンサ球菌を外部遺伝子リザーバーとして用いて、選択圧に応じて薬剤耐性遺伝子や莢膜抗原を変化させることが報告されている。すなわち、口腔微生物叢に薬剤耐性遺伝子や病原因子が含まれている場合、肺炎球菌が感染後にそれらの遺伝資源を利用する可能性がある。実際のヒトの口腔細菌叢の構造と耐性遺伝子の分布などを明らかにすることで、これまで認識されていなかった、健康なヒトの口腔が持っている、肺炎球菌の耐性化リスクを検討する。

報告書等 研究紹介ポスター / 最終報告書
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