学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点

採択課題 【詳細】

jh231008 Tomo-e Gozenデータプラットフォームの開発
課題代表者 瀧田 怜(東京大学大学院理学系研究科付属 天文学教育研究センター)
Satoshi Takita (Institute of Astronomy, The University of Tokyo)
概要

「時間軸天文学」と呼ばれる宇宙の短時間変動を追う天文学は、近年の計算機、高速ネットワーク、イメージセンサーの発展に加え、重力波やニュートリノ観測を起点とするマルチメッセンジャー天文学の登場とあいまって、現在、最も注目を集める天文学分野の1つである。我々の研究グループでは東京大学木曽観測所の口径 105 cm シュミット望遠鏡に広視野カメラを搭載して、宇宙の動的な姿を広域に監視する Tomo-e Gozen 計画を進めている。この広視野カメラには 84 枚の CMOS イメージセンサーが搭載されており、世界で類を見ない空の高感度動画広域サーベイが実現されている。さらに広視野カメラに直結された大規模計算機により、観測データはリアルタイムに処理される。2019 10 月の本格運用開始後、Tomo-e Gozen システムは、1 夜あたり約 8 TB1 年あたりでは約 2 PB の観測データを生成している。

Tomo-e Gozen 計画の特長は、(1)「秒」の時間スケールの変動現象にせまる広視野の動画データを生成し、(2) データをリアルタイムで解析し、その中に潜む突発現象や高速移動現象を検出して、情報を迅速に世界へ発信することにある。これにより、Tomo-e Gozen を起点とした「秒」の時間スケールに残された時間軸天文学の未開拓領域を切りひらくことが期待される。科学的波及効果は太陽系小天体、系外惑星、ブラックホール連星から、系外の中性子星合体、ガンマ線バースト、活動銀河核まで広範囲に及ぶ。また、可視光だけでなく、電波、赤外線からX線、ガンマ線まで多波長の時間軸天文観測の起点となることも期待される。本研究では Tomo-e Gozen 計画の核である観測データのデータベース、リアルタイム解析、情報発信を担うプラットフォームを mdx 上に構築することを目的とする。 

報告書等 研究紹介ポスター / 最終報告書
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