学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点

採択課題 【詳細】

jh230035 大規模比較ゲノム解析による病原細菌の進化と病態発症機構の解明
課題代表者 山口雅也(大阪大学 大学院歯学研究科 バイオインフォマティクス研究ユニット)
Masaya Yamaguchi (Osaka University, Graduate School of DentistryBioinformatics Research Unit)
概要

 近年、薬剤耐性菌の増加が世界的な問題となっている (O'Neill J. AMR Review, 2016)。肺炎球菌は耐性化が強く懸念されている菌の一つであり、世界の下気道感染症による死亡の約半数(120万人弱)の原因である (GBD 2016 L. R. I. Collaborators. Lancet Infect. Dis. 2018)。また、肺炎球菌と同じレンサ球菌に属する、化膿レンサ球菌による劇症型感染症も大きな問題となっている。肺炎球菌と化膿レンサ球菌は、致死的な感染症を引き起こす一方で、健常人からも分離されることも報告されている。しかし、そのような無症候的に定着している菌株と重篤な疾患を引き起こす菌株の間に、どのような違いがあるのかという点は明らかになっていない。
 本研究では、侵襲性疾患由来株ならびに無症候性定着株の全ゲノム情報を比較し、病態形成に必要な分子または無症候的に定着するための機構の解明を試みる。得られた情報をもとに、細胞やマウス感染モデルを用いた細菌および宿主のシングルセル解析などの実験で因果関係を検証するとともに、侵襲性病態の制御手段を探索する。ゲノム情報から病態と相関する因子を探索することで、感染モデルを用いた解析のみでは難しい、ヒトの臨床病態を反映した高解像度の解析戦略が可能となる。

報告書等 研究紹介ポスター / 最終報告書
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