学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点

採択課題 【詳細】

jh220047 グラフ構造で一般化された静的負荷分散フレームワークの高度化とメッシュフリー法への適用
課題代表者 森田直樹(筑波大学システム情報系)
Naoki Morita
概要

シミュレーション領域全体の挙動を表現する粗いグローバルメッシュと、注目領域の詳細挙動を表現するローカルメッシュを重ね合わせ、有限要素法の枠組みで局所的な高精度化を実現する「重合メッシュ法」は、微小な領域で生じる作用が領域全体へ支配的な影響を与える現象のシミュレーションに利用される。ローカルメッシュによる局所的な高精度化により計算自由度を削減できる点に加え、両者のメッシュを独立に生成可能なことからメッシュ生成・メッシュ制御が容易な点が利点である。解析対象全体の形状や関心領域で生じる現象を詳細に解像する場合、両者のメッシュ解像度が増大し、計算自由度を削減できる重合メッシュ法を利用してもなお計算コストが大きくなる。

標準的な有限要素法では、メッシュ構造を利用した領域分割法により良好な並列化効率を得ている。この手法では、1 節点あたりの計算時間が同一という仮定がある。重合メッシュ法の場合、ローカル・グローバルメッシュ間の相互作用に関する計算コストが高いため、(a) 従来の領域分割法では計算コストが均一にならず、高い並列計算性能を実現できないことが問題となる。また応用先として想定している亀裂伝播シミュレーションの例では、亀裂の進展に伴ってローカルメッシュが移動するため、時間方向へ計算が進むごとにローカルメッシュとグローバルメッシュの内包関係が変化する。これが原因となって (b) 分割領域ごとの計算コストが刻々と不均一に変化し、計算性能が著しく低下する。以上の状況から、実用に供する重合メッシュシミュレータの実現には、その並列計算性能の向上が重要となっている。

そこで本研究では、問題 (a)、(b) を解決するため、高い並列計算性能を実現する動的負荷分散フレームワークを構築し、このフレームワークを用いた重合メッシュシミュレータの開発を目指す。2021 年度までの検討により、ローカル・グローバルメッシュが重なる領域で、両メッシュの補間関数の不連続性が原因となり、解析精度が低下する問題が明らかになった。現在この問題に対し、エンリッチ関数を節点に付与して局所的に高精度化を図る拡張型有限要素法(XFEM)により重合メッシュ法の高精度化を進めている。XFEM で拡張された重合メッシュ法はエンリッチ関数の付与により節点あたりの自由度が異なるため、従来の重合メッシュ法で生じる計算負荷の不均一性に加え、XFEM の影響を考慮した負荷分散が必須となる。そこで 2022 年度は、静的負荷分散フレームワークの高度化を実施し、XFEM で拡張された重合メッシュ法に対して、有効性の検討を行う。

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