学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点

採択課題 【詳細】

jh210006-NAH 大規模電子状態シミュレーションを用いた結晶系における水素量子効果の研究
課題代表者 立川仁典(横浜市立大学・大学院データサイエンス研究科)
Masanori Tachikawa (Yokohama City University)
概要

水素(H)を重水素(D)に置換された分子は、通常の分子と異なった性質を示すことが知られている。例えば水分子の場合、水素を重水素に置換することにより水分子間距離が長くなり、水素結合ネットワークがより柔らかい構造を取ることが報告されている。このようなH/D同位体効果は分子だけでなく、結晶系においても実験的に観測されている。例えば四角酸からなる分子性結晶系では、相転移温度が重水素置換によって大幅に上昇することが見出されている。また金属表面への水素吸着・吸蔵現象においても、水素と重水素で異なった振る舞いが観測されることが報告されている。このような現象は、水素原子核自身の量子性に由来し、水素と重水素の質量差といった単純な事柄のみでは説明できない。そこで本研究プロジェクトでは、結晶系での水素量子効果に着目し、大規模第一原理シミュレーションにより水素の量子的振る舞いを明らかにする。また、そのために必要となる大規模計算機向けのプログラム整備を行う。


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