学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点

採択課題 【詳細】

jh200050-NAH 汚染物質拡散解析コードにおけるアンサンブル計算およびデータ同化手法の高度化
課題代表者 長谷川雄太(日本原子力研究開発機構・システム計算科学センター)
Yuta Hasegawa (Japan Atomic Energy Agency・Center for Computational Science & e-Systems)
概要

放射性物質の拡散予測の社会的関心は非常に高く、迅速性および正確性が求められる。都市部の路地や建物等を解像する高精度予測の実現には1mオーダの格子が必要であり、従来の拡散予測シミュレーションや気象予報等で用いられる数百m格子に比べ大幅な高解像度化が求められている。そのような高解像度格子でリアルタイム解析を行うためには、スパコンの計算機性能を最大限に引き出す解析手法の開発が必須である。本研究ではGPUスパコンに適した格子ボルツマン法(LBM)による風況・汚染物質拡散解析コード『CityLBM』の開発を進めている。これまで、AMR法を用いた省メモリ化・高速化、NVLink / GPU DirectRDMAによるP2P通信の高速化、都市部の熱対流を考慮した風況解析手法の確立、および基礎的なデータ同化手法であるナッジング法に基づく外部の気象計算結果を反映した境界条件の導入により、高精度かつリアルタイムな都市部局所風況解析を実現してきた。さらに、昨年度JHPCN課題「アンサンブル計算に基づく汚染物質拡散予測の開発」においては、衛星写真等を参考に植生モデルを設定するとともに、初期条件を手動で変更してアンサンブル計算を行うことで、オクラホマシティの実地形・実気象下でのトレーサ拡散実験を精度よく再現することができた。今年度課題においては、アンサンブル計算の高度化を行う。現行のアンサンブル計算は初期条件を手動で設定して9アンサンブルの計算を行ったが、これを自動化し、より多くのメンバー数(100メンバー程度)のアンサンブル計算を行う。また、現在は計算中にメンバー間で同期を必要としない並行処理のアンサンブル計算であるが、MPI_Comm_splitに基づく並列処理を実装し、All Reduce演算等による統計処理、およびアンサンブルカルマンフィルタの導入を行う。

報告書等 研究紹介ポスター 最終報告書
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