学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点

採択課題 【詳細】

EX24206 リカレント型ビット演算による流体・構造体統一解析手法の開発
課題代表者 松岡 浩(技術士事務所 AIコンピューティングラボ)
概要

高精度なものづくり流体工学設計では、しばしば、流体と構造体の相互作用(FSIを高解像度で数値シミュレーションしたいというニーズがある。ここでは、最近重要性を増しているFSI解析の産業利用ニーズの例として、『浮体式洋上風力発電ファーム』を念頭に置く。現在、地球温暖化対策として、世界各国が、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする“カーボンニュートラル”の早期実現を目指している。こうした中、風力エネルギーの利用拡大にも大きな期待が寄せられ、大規模な風力発電ファーム、特に四方を海で囲まれる日本では、洋上風力発電所の設置が強力に推進されている。特に、日本周辺では、遠浅の海域が少ないため、海上に浮かべた巨大な“浮体”に風車を据え付けるケースが多くなる。このため、“洋上風(空気)”と“潮流や波(海水)”という2つの『流れ』と、その中に置かれた『運動可能な構造体』(“翼・ロータ・発電機等の風車システム”と“タワー・浮体・係留設備等の支持構造物”)が複雑に相互作用する状況を解析する必要がある。

また、風車を駆動する洋上風がもつエネルギーは、風車の受風面積と風速の3乗に比例することから、より上空の速い風をより大きな面積で受けるため、風車の大型化が促進されている。さらに、ひとつの海域に、このような大型風車が通常数十基以上設置される状況となっている。その結果、発電所全体の規模と投資額が巨大になり、事故停止の防止と運転性能の向上がより一層厳しく求められる。このため、構造安全設計や性能推定をより高精度に行うことが不可欠となり、“高解像度なマルチスケールFSI解析”が必要になる。

以上の状況に鑑み、本研究では、“高効率な並列計算”と“誤差の蓄積がない安定な時間発展乱流計算”を同時に実現できるという『ビット演算』の特徴を保持したままで、“高効率なマルチスケールFSI解析”を可能にする解析手法の開発を目指す。具体的には、多数の仮想粒子の挙動を平均してマクロな流体挙動を得る“格子ガス法”を用いる。特に、C. M. Teixeiraが考案した高精度な“4次元面心超立方体格子”による54速度モデルを採用し、これをFSI計算用に改良する。

なお、本計算には、東北大学サイバーサイエンスセンターのベクトル計算機を利用する。

報告書等 研究紹介ポスター / 最終報告書
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